— Kenji Sekiguchi

2010年を振り返る

2010年を振り返ります。

とにかくOtographic Musicの運営に注力した一年でした。この一年でとりあえずインディーズレーベルに必要な最低限の仕組みは出来たかなと思います。アーティスト、デザイナーのみんなや、お手伝いをしてくださった関係者の皆さま、応援してくださったリスナーの方々に改めて感謝申し上げます。

色々な企画を実行していくうちに自分の考えも改まり、役割やすべき事も少しずつ見えてきた気がします。大きな助けになったのは本から学んだことで、上半期は主にドラッカーを読んでマネジメントについて勉強し、下半期はスタジオジブリの宮崎駿さんと鈴木敏夫さんのインタビュー記事や本を読んでクリエイター・プロデューサーとしての考え方に大きく影響を受けていました。特に宮崎駿さんのインタビュー集「風の帰る場所 -ナウシカから千尋までの軌跡-」は、アーティストの人達に強くオススメします。

自分のDJは去年とあまり変わらず、そのまま曲のストックが増えたのでバリエーション豊かに展開を作れるように頑張っていました。お世話になったベストシングルはAnjunadeepから出たPROFF – Abandoned / Albina / Tellでしょうか。Luiz BPlaytonSoundprankなど今年台頭してきたアーティストは今後のさらなる飛躍が楽しみです。その他の今年注目してたアーティストはDinka、Joonas Hahno、Kasper Kochker、Aeron Aether、Ad Brown、Matt Lange、Maxplay、Max Demand、Shipstad & Warrenあたり。ベストアルバムはBT – These Hopeful Machinesでした。

そして日本のトランスシーンは、年を重ねるごとにどんどんシーンが盛り上がってきているなと実感します。Nhato君MAKOTRAXさんShingo Nakamuraさんらが続々と海外のトップレーベルと契約を結んで行ったり、Enhanced RecordingsからShota Mochizukiさんがデビューしたり、アーティスト陣の活躍は目覚ましいものでした。レーベルではAffective RecordingsSomodeGALAXY RECZなどが続々と楽曲をリリースしていました。パーティもMagnificent、Landscape、Anjuna World Wide、Ligaya、Vangaurd、Exoticaなど色々なパーティが開催されていましたね。さらに今年は、10代後半の世代に沢山アーティストが現れて、生産者側の層が厚くなったことも大きな発展でした。自分が若い頃に上の世代からサポートしてもらったように、自分も彼らをサポートして頼られるような存在になりたいです。

あとは、TwitterやUstreamを通じて活発に意見交換やDJ配信が出来るようになったことがシーンの盛り上がりに大きく貢献したと思います。自分も告知・宣伝やインタビュー、DJ配信をするときにTwitterやUstreamに大変お世話になりました。ですが、これらはあくまでも手段の一つである、と割り切って考えています。是非USTでクラブミュージックに興味を持った人はクラブへ足を運んでフロアでの交遊を楽しんで欲しいですし、USTからDJ活動を始めた人はクラブでのDJに挑戦して欲しいですね。身体全体で音圧を感じる感覚や広い空間に大音量で音が伝搬していく感覚など、クラブでしか感じることが出来ない経験知がクラブトラックを扱う上では必要不可欠ですから、これからのシーンを担うDJやアーティスト達のためを思うと、ネット上でのやりとりがメインになって、クラブミュージックがクラブから離れるようなことがあってはいけないな、という危機感があります。その為にクラブ側やパーティオーガナイザー側も、お客さんが過ごしやすいような空間作りをする必要がありますね。

その他には、円高による輸出業への打撃や、アイスランドの火山噴火による空港閉鎖(海外DJのギグもいくつか中止になりましたね)、今敏さんやKAGAMIさん、Nujabesさん等の急逝、風営法に関するクラブの摘発や、最近では同人音楽サークルDiverse SystemのビーマニアレンジCDの突然の販売停止など、悲しい出来事も沢山起こり、本当に明日何が起こるか分からない時代になりました。来年はもっと沢山の苦難を体験することになるかもしれません。そんなとき、何かしらの形で皆さんに貢献出来るような、ワクワクを提供できるような活動をして行きたいですね。

来年も頑張ります。


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